自転車飛び出しによる事故の過失割合はどう決まる?
「飛び出し」が原因の事故の場合、どのような過失割合になるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、自転車と車両の衝突事故を中心に、事故現場の状況や信号の有無、当事者の年齢などの要因別に、具体的な過失割合の基準と調整要素を解説します。
飛び出し事故の過失割合
飛び出し事故における歩行者とドライバーの基本的な過失割合は、歩行者が20%、車両が80%です。
ただし、事故現場の環境や状況、歩行者の年齢などを踏まえて調整が行われます。
過失割合は警察ではなく、被害者・加害者双方の保険会社が過去の事例を参考に協議して決定するのが一般的です。
自転車の飛び出し事故の過失割合について
自転車と車両の衝突事故において、飛び出しケースの過失割合についてみていきましょう。
信号機や一時停止線の設置状況、自転車利用者の年齢といった要素は重要な判断材料です。
自転車は「交通弱者」として位置づけられるため、基本的に車両側により重い責任が課されます。
子どもの自転車飛び出し事故のケース
子どもが関わる事故では、車両側により厳しい注意義務が求められます。
子どもは事故回避能力や責任能力が大人より低いためです。
判断の重要な基準となるのが、子どもの事理弁識能力(物事の善悪を判断する能力)です。
5歳未満(幼児)
- 特徴:言語能力や行動が未熟
- 責任の考え方:子どもへの責任追及は困難。保護者の管理責任が問われる
5~6歳以上(児童)
- 特徴:事理弁識能力あり
- 責任の考え方:状況により10~20%程度の責任が認められる
なお、子どもが被害者の場合は「子どもである」という要素が考慮され、大人の事故と比べて5~20%ほど過失割合が軽減されます。
信号機のない交差点における飛び出し事故のケース
同じ道幅の道路が交差する信号機なしの交差点における過失割合は、車両が80%、自転車が20%です。
ただし、道路幅に差がある場合や優先道路が設定されている場合は、過失割合が変動することがあります。
信号機のある交差点における飛び出し事故ケース
信号機のある交差点での事故では、進入時の信号の色が過失割合を決める重要な要素です。
信号の状況 | 自転車の責任 | 車両の責任 |
自転車:青、車両:赤 | 0% | 100% |
自転車:赤、車両:青 | 80% | 20% |
自転車:黄、車両:赤 | 10% | 90% |
自転車:赤、車両:黄 | 60% | 40% |
両者とも赤 | 30% | 70% |
このように、信号の色の組み合わせによって、責任の度合いが定められています。
一時停止義務違反の自転車による飛び出し事故のケース
一時停止義務に違反した自転車には、大きな責任が課されます。
信号のない交差点で一時停止線があるにもかかわらず、自転車が停止せずに車両と接触した場合の過失割合は、自転車側40%、車両側60%です。
また、自転車が一方通行違反をしていた場合や、車両が優先道路を走行中だった場合も、自転車側の責任が重くなる傾向にあります。
まとめ
飛び出し事故の過失割合は、事故現場の状況や当事者の年齢で大きく異なります。
基本的には交通弱者保護の観点から車両側の責任が重くなりますが、信号無視や一時停止違反などの明確なルール違反があれば、自転車側の責任も増加します。
子どもの事故では年齢による特別な配慮がなされ、信号の状況によっても責任の度合いが変わる点にも留意しましょう。
自動車事故にあった場合は、速やかに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。